3シリーズはBMWの看板車種
2013年から2018年まで、BMWの単一車種で5年間と私が最も長く愛用したクルマが320i Luxury(F30)でした。2012年から2018年までの3シリーズセダンタイプの型式コードはF30、ツーリングはF31です。
BMWの再量産車種であり、古くは「BMWは3シリーズで始まり3シリーズで終わる」といわれていたほどの人気車種です。人気の中心は320iと320dで中古車も最も多く出回っています。
ボディサイズは4625×1800×1440mm。日本市場デビュー直前になって駐車場事情が考慮されドアハンドルの形状を平たく変形させてまでも全幅1,800mmに収めたというエピソードは有名です。
国内の道路事情や駐車場事情からもベストバランスのサイズ感と思います。
3シリーズは名実ともにBMWの最量販車種(MINIは除く)で小型セダンとして長年「世界のベンチマーク」とされてきています。
※2019年からのG20型はまったく小型ではなくなりました(4715×1825×1440mm)
エンジン
多彩なエンジンバリエーションが揃っていますがF型の本命は2リッターの320iと320d。
コード末尾の”i“がガソリンエンジン、”d“がディーゼルエンジン車を意味します。
320iのパワーユニットは直列4気筒DOHCターボエンジン。最大出力はともに184ps、最大トルク/発生回転数は27.5kg/1250rpm。ディーゼルの320dは37.5kg/1,750rpm。
低速域からでも十二分なトルクが発生するので優秀な8速ATとあいまって街乗りでも非常に快適です。
特に、320dは中速域からアクセルを踏み込むと「背中にシートが押し付けられる感覚」のような豪快な加速感を味わえます。
ちなみに上位グレードの328iは最高出力245psで37.5kg/1250rpmと一段と高性能なエンジン搭載ですが、実際には320iと完全同一エンジンで、内部制御によって出力調整(ディチューン)しているだけというのも有名な裏話。
ただし、パワーが抑えられた320iは当然その分燃費が向上し高速クルーズ中心であれば17~18kmという国産HVに匹敵する素晴らしい成績を叩き出してくれます。
実体験は数日間しかないのですが320dは更に好成績となるはずです。
中古車としては320iと320dのどちらもおすすめですが、燃費重視なら迷いなく320dを選択されれば良いでしょう。ディーゼル特有の騒音と振動は間違いなくあるので快適性重視なら320iです。
ただし、ターボ化されたガソリンエンジンもアイドリング中は決して静かではありません。
まるでディーゼルのようなカラカラ音がずっと続きます。とはいえディーゼルエンジンよりはずっと静かです。
BMW車は毎年改良されていて、数年に一度はエンジンも改良される
カタログ数値上の変化はなくとも、細かな改良が毎年施されるのはドイツ車全般のようです。
7年程度のモデルサイクル中に一度はエンジンの大幅改良が行われることが多いです。
特に2013年からの320dの改良幅が大きく、騒音・振動低減対策がともに大きく進化しています。
本サイトでのおすすめは2016年モデル以降となるので関係ないのですが、中古車価格の安さにつられて2012年のディーゼルモデルには手を出さないようご注意ください。
走行性能
「駆け抜ける喜び」のキャッチコピーの代名詞であり、さまざまなメディアで語り尽くされているので、ここでは詳しくは触れません。
ドライバーの意のままに、よく走りよく曲がりよく止まるクルマです。
維持費
実体験では2013年からの5年間まったく故障知らずで、新車時の保証プラン(3年間64,000円/車検整備は別途)がムダだったと後悔させられたほど。
交換部品もないので車検整備費用は最小限で済んだし、オイル関係やワイパーは無償だったので少しは元がとれたくらいとうところです。
特徴
LuxuryとMスポーツ
BMW車のほとんどのシリーズに設定されているのがMスポーツタイプです。
ドレスアップパーツによって外観が「スポーティ」なイメージになるのと、硬めのサスペンションが特徴です。
どのシリーズでも大半がこのMスポーツタイプになっているのが”BMW=スポーティカー”というブランドイメージによるものでしょう。
乗り心地が悪いというほどではありませんが、快適性重視なら避けたほうが良いです。個人的にはノーマルサスペンションのLuxuryでも十二分にスポーティさを感じることができています。
なお、 Luxury のみサイドウィンドウのモールがクロームメッキになり、かなり外観イメージが変わります。
デザインライン
F30での新たな試みとして、デザインラインと称して同価格で3タイプの内外装が選択できるという意欲的なものがありましたが、一代限りで終わりました。
LUXURY・SPORTはそれなりに意味がありましたが、それらと並びMODERNという中途半端なタイプは1年程度で廃止されたので希少価値があるかもしれません。とはいえオイスター色のハーフレザーシートは魅力的でした。
ちなみにSPORTは今から思い返しても内装はかなり魅力的なデザインでした。
外観
2011年1月のデビューですが、まったく古さを感じさせない素晴らしいデザインです。
キドニーグリルやボディサイドのプレスライン等BMWのデザイン的特徴をすべて備えています。
プロポーションも完璧でケチのつけようがありません。
ホィールの清掃習慣を
基本的に手のかからないクルマですが、ホイールだけは別。
とても良いデザインのホィールですが、数100kmも走行すると黒いブレーキダストまみれになります。
まとまった距離の走行後はまめに清掃しないと汚れが落ちにくくなるので要注意です。
手洗いしずらい形状ですが水洗いで十分なので週に一度はボディや室内チェックをかねてという感じですね。
※ブレーキ部材の質によるものでしたが最近のモデルではかなり改善されているようです
こびり付いた汚れが取れにくくなってしまった場合は専用クリーナーが有効です。
内装
ダッシュボード
上面の複雑な形状が意味不明(カタログには意味があるように書かれている)ですが不満があるわけではありません。とにかくこの時期だけの独特の雰囲気です。その他センターコンソールの左側が仕切りのような形状で、いずれもアイデア先行でデザインされたようでF30のみの特徴となりました。
その後今に至るまで主流となったタブレット型のモニタ(コントロールディスプレイ)も当時は他に類を見ない斬新な特徴でした。
モニタ画面とプログラマブルボタン
レイアウトとしては最高なのですが、一見キレイに見えるモニタが明度不足のため、明るい日中ではお世辞にも見やすいとはいえない品質だったのが残念です。
※2015年頃にはリニューアルされて格段に見やすく不満のない品質になっています
ラジオのチャンネルボタンにみえる8つのプログラマブルボタンは、オーディオやナビゲーションの機能をショートカットとして登録できる素晴らしい機能です。
指をボタンに近づけるとモニタ画面に設定内容が表示されるので、どのボタンに何を設定したのかを忘れてしまう心配もありません。
最初に知ったときにはちょっと感激したくらいホントに素晴らしい機能です。
設定画面を開いた状態で任意のプログラマブルボタンを長押することで登録できます。
メニュー階層が深くても簡単にワンタッチ化。登録状態はリモコンキーともリンクします。
今では珍しい機能ではないかもしれませんが、知らないとソンですよ。😉
iDriveコントローラーとシフトレバー
電気式シフトレバースイッチ。ここまで進化したにもかかわらず・・・
残念なのが、パーキングブレーキが旧態依然の機械式ハンドブレーキのままだったこと。
そのため、今ではなくてはならない便利装備のオートブレーキホールド機能がない。せっかく先進的なシフト機能を採用したF30最大の弱点とさえ思っています。社内でも侃々諤々だったのでしょう。
当時すでに「全車速対応ACC」があったのだからクルマとしては電気式ブレーキが存在していたはず。
LCI(ビッグマイナーチェンジ)に少しは期待があったが、改善されないままでした。
当然ながら現行のG20では標準装備です。
シート
BMW謹製のダコタレザーシート。Luxrury仕様なのにオプションで284,000円でした。😅
表皮がごわごわした感触で座面も硬めと、見た目ほど快適ではありません。
座面の前後上下に加え傾きまで調節可能なメモリー付き電動シートは標準装備です。設定はリモコンキーごとに記憶されます。
オーディオ
「BMWは高級車だからオーディオも高品質」と思いたいところですが、残念ながら音質は良くないというのを通り越して悪いです。84,000円ものオプションで「Hi-Fiスピーカー」装備でしたが、ツィーターがフロントピラーに装着されただけのようでまったく価値がありませんでした。
とにかくスピーカーが決定的にしょぼくて”サウンド”というには程遠くて単に音が出てるだけ。
ここにはコストをかけないという方針のようなのであきらめるしかないです。
ただし、アンプの性能は悪くないのでスピーカー交換でかなり改善はできることが分かりました。
ACC / アクティブ・クルーズ・コントロール
152,000円のオプション注文。バカみたいに高かったけどその価値はありました。
詳しくはこちらをどうぞ。