BMW523d 長期レビュー

BMW523dユーザーによる実使用レポート(満足度と不満点)

BMW523d(F10)2016年式の中古車オーナーとなってちょうど 1年間のまとめです。※2021年10月時点
自分のための記録であるとともにこれから検討される方に向けて、特別仕様車ではなくレギュラーモデルの523dとしてのリポートとしています。知識豊富なマニアでもなければチューニングやカスタマイズとも無縁の素人ユーザーの独自の価値観によるものですので予めご了承下さい。
※2013年12月以前のモデルは対象外です

燃費

BMW 5シリーズ購入動機として経済性を第一義にする人がいるかどうか分かりませんが、多くのユーザー予備軍にとって523dでの最大の関心事のは動力性能と燃費でしょうから最初に載せておきます。※後述の節税対策等は例外として
前提条件として奈良県の町レベルの地方在住であり、走行環境のほとんどが近隣の県域までの使用です。
大都市ではないので、市街地やバイパスでの渋滞遭遇頻度はかなり低いです。
倹約生活中のため、走行目的だけのドライブはほとんどしなくなったし有料道路の使用頻度も低いですが、クルマの健康のため月に数回は無料高速道路ともいえる名阪国道や阪奈道路などを利用して比較的ハイペースで良く走行しています。最近半年間ほどの1回の走行距離はおおよそ20～100km程度。
自分はただの一般ユーザーであり走り屋ではありませんが、ノロノロと燃費最重視のエコランもしません。
購入後ちょうど一年間経過したのでまとめるのにも良いタイミングではあるのでまとめてみます。
丸一年間の成績は、 総走行距離7,535km ÷ 給油量530L = 平均燃費14.3km/L でした。
※1000km程度のロングドライブ数回を含んでいます

これまでの最良燃費は高速道路主体のゆったりクルージングで16～18km/L程度。すべて満タン法での計算です。給油までの合間に20km/L を超えた事も何回かあります。
デカイクルマですから超低燃費とまではいきませんね。エコランなんてほぼしない事もありますし。

ゴルフと燃費が変わらない ? 😲

日常使いでの燃費については、ほとんどが片道30分以内という一般道路走行において11～13km/Lで、これはメインの愛車ゴルフ6トレンドラインとほぼ同じ水準です。サイズと重量の面で二周りも不利というのに、素直にスゴイといっておきましょう。さすがディーゼル車です。
※「燃費」とひとくくりにしていますが、上記は燃料消費率です。
本当の燃費コストは、ゴルフのハイオクガソリンよりリッター当たり30円近く安いのですから、いちいち計算するまでもなく金額面の燃費では圧倒的に優等生です。この意味では気楽に使えるのですがディーゼル車の特性上良くないとされる片道5分などというちょい乗りにはほぼ使いません。

M Sport

自分が望んだわけではありませんが、限定仕様車であるBMW523dセレブレーションエディション・バロンはM Sportがベースですが同時に Luxury仕様にもなっています。
BMWでは、ディーラーの話でもネット情報などでも、5シリーズであっても大半のユーザーがM Sport仕様を選択されるらしいです。
ネットの中古車情報をみても”Mスポ”でないのを探すのが難しいくらいの状況がずっと続いてます。以下、サスペンションの固さなどユーザーの価値観によって評価が真逆になる事は承知の上での個人的感想です。
ノーマル仕様との差別化に関する情報はネット上で豊富にあるので、外観上・表面上の差異についてはここでは省きます。以下感想のみ書きます。

• スパルタンな足回りだがゴツゴツ感はほとんどなくカッチリとした乗り心地で想像よりはるかに快適
  しかし高級セダンとしてのなめらかな乗り心地を求めるならば、やはりこの選択(Mスポ)はありえない
• 最低地上高は確保されているので、車止めや歩車道境界での段差もほぼ心配はいらない
• 触感の優れたぶっといステアリングホイールは実に快適
• 太いタイヤと大径ホィールは良く言えば適度に路面情報を伝えてくれるが、乗り心地面では悪要素でしかなく、大きな段差では不快な突き上げあり
• せいぜい3000RPMまでしか回さないので、目障りなパドルシフトは不要(あくまでも個人的価値観)

523dの良いところ

• 3シリーズではなく5シリーズに関心がある人なら高級感を求めているはずとの前提ですが、個人的には満足しています。
  3シリーズ以下のモデルとは骨格からして違うので乗り心地が数段上であり、内外のデザインでうまく差別化されており、すべてにおいて完全に1ランク上の上質さと感じます。
  室内のしつらえの上質さも比較になりません。リーズナブル価格でBMW高級セダンを求めるなら迷わず5シリーズです。
• サイズ感
  いかにもデカイクルマだし、初めて乗り込むと緊張感に襲われますが、走り出せばすぐに慣れるので心配ありません。
  使い勝手が良いとまではいえませんが、実際には全幅1800mmの3シリーズ(F30)より60mm広いだけです。
  国内の道路・駐車場事情では日常使いには全幅1,800mmが限度と感じるのもたしかですが。
  近場の狭めの2車線道路や駐車場では少しは気を使いますが、個々の事情でありサイズ的に自宅の車庫に入れないなどの場合を除けば使い勝手はほぼ変わりません。

エンジン、走行機能など

• クルマとしてエンジンは”速い”のではなく”強い”
  ディーゼル車は燃費とともに低回転域からの太いトルク感も大きな魅力ですが、その期待にきっちり応えてくれます。踏み込んでも4000回転くらいまでしか回りませんが、高回転でぶっ飛ぶのが好きな人はこのクルマを選ぶはずがないので問題にはならないでしょう。このクルマでそんなに回すと一般道では超危険ゾーンになります。😅
• 320d(F30)では、アクセルを踏み込むとシートに背中が押し付けられるほどの豪快な加速感に驚かされましたが、523dではそこまでの爽快感は得られません ※エンジンも変速機も同一という条件で、車重が200kgも違うのだから当然かな
• アクセル・ブレーキ・ステアリング・ATのレスポンス
  さすがの一級品で、何のストレスもありません
• 静粛性
  走り出してしまえばディーゼル車である事を忘れられます。100kmクルーズで1500RPM、通常使用で加速を必要とする場面でも2000を超える事はほとんどありません。調子に乗って3000までいくとヤバい事態になります。😅
• アイドリングストップ
  このクルマの場合は燃費節減効果などではなく、ディーゼル車最大の問題点であるアイドリング時の音と振動が完全にゼロになってくれるので必須装備です。再始動時の音と振動は当然発生しますがなんとか許容範囲です。イヤなら機能をオフにすれば良いだけです。
• iDrive の操作性は慣れればまずまず
  メニュー体系と操作方法を覚えてしまえばそれなりに使いやすいです。ただしナビの目的地等の文字入力はすごく面倒でストレスがありますが、これは諦めるしかないようです。凝視していないと出来ないタッチ式の文字入力は走行中にはまったく使い物になりません。音声入力機能も笑ってしまうレベルでしかありません。

安全アシスト機能など

• オートブレーキホールド
  エンジン始動時に必ずオンにしています。今や軽自動車にも普及してますが、めちゃくちゃ便利です。電源オフで解除されてしまうのが不満ですが、現行モデル(G20)では初期状態でオンになっていました。iDrive 設定で可能になったのかもしれませんが。
• ドライビング・アシスト・プラス
  2013年12月発売分から一気に運転支援システムが充実しました。自動運転をウリにしている現行モデルとは内容が異なるので詳細はリンク先を参照して下さい。
  前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ、レーン・ディパーチャー・ウォーニングとアクティブ・クルーズ・コントロールです。
  2015年7月からはレーンチェンジウォーニングとアクティブ・プロテクションが追加で標準装備になってます。

• ACC(一般呼称はアダプティブ・クルーズコントロール)
  何といっても自分にとってはACCがキモですね。パーフェクトな前愛車から乗り換えた最大の理由はこれです。※ACC等については別記事にします
  バロンは停止車両にも対応してきちんと止まってくれます。それが当たり前なんですがそうではなかったのです。おそらくですが、2015年版で改良されたようです。
  何で最初からやらなかったのだというくらい待望の機能強化です。
  後方から迫る車両を検知してドアミラーに警告表示してくれるレーンチェンジウォーニングも安全アシストとして役に立ってます。
  その他では衝突回避・被害軽減ブレーキですね。現行モデルと違って自動ブレーキと呼べるほどの信頼性はありませんが、予告は確実にしてくれるし、万が一のダメージを軽減してくれそうなのは間違いありません。320i 時代から年に1～2回くらいはお世話になってます。😅
• これらの安全アシスト装備に魅力や必要性を感じるなら、中古車購入時には上記の年式に注意して下さい。登録年月が2014年であっても長期在庫車であれば装備の有無は分かりません。
• 見やすい画面で意外にかしこいナビゲーション
  2013年までの初期型では、地図画面など高精細ではあるもののコントラストが低いためにモニタ画面の視認性が低くて困っていたのですが、LCI(マイナーチェンジ)後は劇的に向上して不満がなくなりました。
• ブレーキダストが少ない
  同じく、おそらくLCI で改良されたと思われますが、BMWユーザーの大きな悩みのタネのひとつであったブレーキダストの付着量をほとんど気にしなくても良いレベルにまでなりました。
• ウィンドウモール劣化なし
  同じく、ウィンドウモールのメッキ部分が腐食して汚くなるという同様の持病がありましたが、現在の愛車にはまったく発生していません。

インテリア、シートなど

見た目のデザインは高級感がありますが、ダコタレザーシートは表皮が硬くて座ってみれば高級車感はイマイチ足りていません。
“バロン”は明るいオイスターカラーですが、特別なメンテナンスをしなくとも耐久性は十分で6年目でも変色などの劣化がまったくありません。運転席のみわずかにシワが発生していますが、気になるようなレベルではありません。

エコプロは燃費改善効果なし

常用ドライブモードはComfortのみです。EcoPro/エコプロモードですが、確実に加減速レスポンスが悪化する割に燃費改善効果が確認出来ないためここ半年くらいはまったく使用していません。パワフルなエンジンなのでこのモードでも実走行に支障はないのですが、2～3%程度あるかないかの燃費向上期待のためにストレスがたまるのでは意味がないので使用をやめました。同様にスポーツモードも自分にとっては過剰な性能であり無用の長物です。

523dの良くないところ

• エンジン始動時から低速(1200RPMくらい)までの騒音と振動
  ディーゼル車なんだから当たり前です。体験はないけどメルセデスやボルボだって大同小異でしょう。
  とはいえ今はなきマツダアテンザはディーゼルエンジンのハンディを感じさせない見事な出来でした。
  前愛車であった”523i(2011)”と比較して最も残念な点がこれです。いかにクリーンディーゼルとはいえ、ウルトラスムーズなノンターボNA6気筒と比較する事自体が無意味ではありますが、直接乗り換えたものだから、分かっていたとはいえ当初の落胆はすごかったです。😂
  メディアの試乗レビューに良くある「ディーゼル車らしからぬ静粛性」「ディーゼル車とは思えない静粛性」などというのはライター氏の営業トークです。でもウソは書かれてません。良く読めば「ディーゼル車だから音は出ている」という事です。あえて分かりにくくしているだけ。
  実際、ドアを閉めてもちゃんと音も振動も感じます。特に車外ではふつうにうるさいですし。YouTubeにも沢山出てますよ。😂
  ただし初期型よりもかなり改善されている事も間違いないし、耳障りなガラガラ音ではなくて小さなコロコロという感じの音と振動なので気にならない(しない)といえば気にならないレベルではあります。
• 523i も大差なし 音楽やラジオ流せばOK
  とはいえガソリンエンジンの320i(F30/2013)だって、直噴の弊害でそれなりの騒音はありました。車外では「これディーゼル車だったっけ?」と思わせる程度には。
  523i(F10)であっても2リッターターボエンジンに変更されて以降はそう変わらないのではないかと思ってます。
  ただし、いずれの場合でも少しラジオや音楽を流すだけで解決してしまうレベルではあります。つまりドライブ中はいつも音楽を聞いてるという人には関係がありませんね。😊
• オーディオ
  BMW車に「高級車なんだからオーディオも高音質サウンドのはず」の期待をしてはいけません。はっきりいって「クソ」です。ここにはコストをかけていません。8スピーカーだろうが12スピーカーだろうがハーマンカードンだろうが、音は悪いです。単に出てるだけ。
  現行モデルの5シリーズや 1シリーズでの体験では、少し良くなってる気はしたような記憶もありますが・・・気のせいかもしれません・・・
  我慢できずに高音質を求める人は専門ショップでDSPとスピーカー交換を依頼しましょう。
  ハイレゾがどうとかこだわるような人でも20～100万円くらいかければ別世界になります。
  「何でそんなに幅があるんだ!?」との疑問には「上を目指せばどこまでも」という分野ですから・・・と答えるしかありません。😅