大した内容ではないが、たまには数値データによるウンチクをたれてみようか。
断るまでもないと思うが、自分は何の専門知識も持たない一介のクルマ好きに過ぎないため、勘違いや思い込み等による記述ミスの可能性は少なからずあると思われるし、指摘があれば訂正しますので遠慮なくどうぞ。
「中途半端な知識で慣れない事はしない方が良いぞ。」と忠告されそうだが、一度はやってみたかったのだ。
一応予防線を張っておいてと・・・(;`ー´)
ゴルフを語る時に何度かフィットを酷評したが、本日のテーマは「何故、車体が小さくて軽い上に強力なエンジン(1.5L/120馬力)を持つフィットが、動力性能でトレンドライン(1.2L/105馬力)にまったく歯が立たないのか !?」及び、
ゴルフ同士であっても「”トレンドライン” の方が”コンフォートライン”よりも快適と感じた理由は ?」です。
自分にとっては、クルマの快適さの重要要素のひとつが「レスポンス」。(*´~`*)
レスポンスが鋭ければそれだけで「良いクルマ」というわけには行かないが、レスポンスが鈍い車はそれだけで「悪いクルマ」である。
ステアリングを切ればすぐに反応し、切っただけ思い通りに曲がる事が出来、アクセルペダルを踏めば即座に加速を始めて踏んだ分だけ期待した通りの加速をし、ブレーキペダルを踏めば意図した通りに止まってくれる。※レースカーではないので、敏感過ぎるのが✕なのは当然
それが良いクルマの条件のひとつ。フィットは、クルマに対する一歩進んだ、そんな当たり前の要求にまるで応えてくれなかった。
※補足しておくと、自分の体験では、フィットが特別ダメなのではなく、むしろ同クラスの他車よりもマシに感じているという現実もある
そして、現在の自分の要求レベルに対して、”BMW320i”が満点なのも当たり前だが、ゴルフだってほぼ満点なのである。スゴい事だと思う。
ムカシは、”3000cc”と聞けばそれだけですごい高性能車と思い込んだし、”300馬力”とか”最高速度250km”とか”ゼロヨン15秒”などという単なる数値データがクルマの優劣を表していると考えられていた。というより、メーカーの宣伝や自動車メディアによってそう思わされていた。
下の表は自動車の評価記事で良く見かける数値データ比較表。自分はこんなものには長い間ほとんど関心がなかったのだが、最近になって少し気にするようになった。それは、試乗シリーズを体験してクルマに関する意識が高くなったためである。根拠を必要とするようになった。
比較するのは、5年間愛用した”FIT1.5X”と”GOLF6 TL(トレンドライン) “、それに短時間試乗の”GOLF6 CL(コンフォートライン)”。
動力性能関連諸元 | FIT 1.5X | GOLF6 TL | GOLF6 CL |
サイズ (L・W・H cm) | 3900・1695・1525 | 4210・1790・1485 | |
総排気量(cc) | SOHC 1,496 | SOHC 1,197 | DOHC 1,389 |
重量 | 1,070\kg | 1,270kg | 1,290kg |
最高出力 ※PSはいわゆる馬力を表す |
88KW(120PS) | 70KW(105PS) | 90KW(122PS) |
重量 / 最高出力 | 8.92 | 12.1 | 10.6 |
最大トルク(Nm) | 145 | 175 | 200 |
最大トルク発生回転数 | 4,800 | 1,500 – 4,100 | 1,500-4,000 |
トランスミッション | CVT(無段変速) | DSG(7速) | |
最終減速比 | 4.908 |
4.437/3.227
|
伝統的な指標である「重量 / 最高出力」比は、高性能車の証明として説明材料に使われて来た。10を超えるなんて論外なレベルだった。
数値が小さいほど高性能とされる。これは”FIT”が抜群に優れていて、次に”CL”。”TL”は大きく離されて最下位。
しかし、自分で体感しての動力性能評価は、イチバンが”GOLF6 TL”、僅差で”GOLF6 CL”その後に大差で”FIT 1.5X”となる。
古い常識ではあり得ない事態であるが、答えの一つが”ターボチャージャー”の有無であり、トルク曲線とトランスミッションの性能。
もちろん、クルマの性能は単純な数値データでは測れない。ずっと複雑な要素がからみあって成り立っている。
例えば”重厚な乗り心地”なんて、どうやったら客観的データで示せるのだろう ? 当然、車体が重ければ良いなんてものではない。
それでも、はっきりと違いを読み取れる要素はいくつかある。
実際の走行で重要なのは「馬力よりもトルク」であり、低回転数で大きなトルクが得られてその範囲が広いほど良い。
“ゴルフ6トレンドライン”のエンジン性能曲線図。やはり最近まで、こんなものにまるで関心がなかったが、今はこの重要性が理解出来る。
赤いラインの”トルク”はエンジンを回転させようとする力を表す。もちろん大きければ大きいほど良い。トレンドラインでは、アイドリングからわずかに上の 1,500rpm でたちまち最大トルク(フィットよりはるかに強いレベル)に達し、しかもそれが4000rpmを超えるまで持続する。これが、トレンドラインがフィットを圧倒する秘密のひとつである。停止状態からほんの少しアクセルを踏む始めただけで最大パワーを発揮するわけ。最初からエンジンパワーを 100%発揮しているのである
別の意味での最大パワーである”馬力”は、この最大トルクが落ち始める時から最高潮に達するようになっている。見事な設計である。
こちらは、”フィット 1.5X”のエンジン性能曲線。 グラフの要素の構成が異なるので見比べにくいが、まったく両者の性格が異なっている事は分かるだろう。 馬力は一直線に立ち上がり、最高出力に達するのが実に 6,600rpmである。 古い価値観からみれば素晴らしい高性能エンジンである事になる。 対してトルクはというと、回転数に応じて極めてゆるやかに増加し、かなりの高回転でようやく達する最大値で比べても、トレンドラインの 82%に過ぎない。ここで完全に勝負ありである。 実用車である”フィット”と”ゴルフ”には、レースカーのようなエンジン能力は必要ないのだ。 現実問題として、アクセルペダルを床まで踏み続けてようやく得られる最大馬力など、高速道路でさえ上限 100kmという我が国の道路事情ではまったく意味がない。 スピードを訴求するスポーツタイプのクルマでない限り、実用使用領域での性能こそ重要なのである。トレンドラインのトルクバンドはドンピシャでこれにはまっている。 トレンドラインの100km/hクルージングではエンジン回転数 2,000rpmに過ぎず、まだまだ余裕十分という体感は数値データとズバリ一致しているのだなと納得。 |
そして、”レスポンス”に関してもうひとつ重要な要素がトランスミッションの”CVT”と”DSG“。
“無段変速”を実現した”CVT”は、その見返りとして”レスポンス”を犠牲にしている。構造上、クラッチが常に滑っている(※1)ので、エンジンのパワーを完全に伝えきれず、回転数と加速力が連動しない。
だから、”CVT”車の運転で”DSG”車のようにダイレクトなレスポンスなど得られるはずがないのだ。(※2)
※1 これは例えであって、実際にはクラッチなんかない
※2 おっとアブナイ。生半可な知識でこんな事を書くと痛い目にあう可能性あり、と戒めつつ書いている (;`ー´)
ふーっ、慣れないことをやると、さすがに疲れてきたな。
続きはまた次号・・・出来るかな。(;`ー´)
コメント
コメント一覧 (2件)
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>"無段変速"を実現した"CVT"
ホンダCVTの話ですね、15年以上前ホンダ研究所のCVT開発話が掲載されています、
http://www.honda.co.jp/novel-honda/21seiki.html
試作段階での1m動いたら壊れた話は開発の難しさを伺えます、
この頃、日産は23年も研究していたトロイダルCVTが製品化された話もすごかったです、圧縮すると固まるオイルにたどり着くまでの試行錯誤、出光のオイルが製品化の突破口だったんですね。
VWのトランスミッションにも日本のメーカーの製品が使われているようです。(車種調べて無いです)
http://www.aw-i.co.jp/business/quality/
アップル製品みたいに中身の部品は日本製なのかな?
ゴルフについてシリーズ楽しみに読んでます(^^)
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さすがは雑学王のおたけさん。
「小説本田技研」なんて、あるんですね。いやぁ面白い。
情報、ありがとうございました。
>VWのトランスミッションにも日本のメーカーの製品が使われているようです
良く知りませんが、ゴルフは違うはずです。たぶん。
逆に、現行フィットの DCT は、ゴルフのもの(DSG)と同じメーカーという説もありますね。どちらもリコールで相当苦労してるし。
あっ、これっていいネタになるな・・・( ´ー`)